はじめに
イメージで捉える!!前置詞マスター講座の導入編を読んでいない方は、必ず【導入編】を読んでからこちらを読んでください。
前置詞”by”の概念
今回紹介する前置詞は”by”です。
“of”にもたくさんの概念がありましたが、”by”にも細かい概念が多く、それぞれ異なるので「気まぐれな」という題をつけました。
今回紹介する異なる”byの概念は以下になります。
- 「手段,方法」の”by”
- 「差」を表す”by”
- 「単位,部分」を表す”by”
- 「判断材料,基準,限界」を表す”by”
- 「行為者」を表す”by”
- 「近隣,通過」を表す”by”
- 「完了期限」を表す”by”
- 「かけ算」を表す”by”
それぞれの説明を理解して前置詞マスターへと近づきましょう。
「手段,方法」の”by”
例文を画像とともに見てみましょう。
I go to school by train.
私は電車通学している。

ここで注目したいのは”school”と”train”の名詞に冠詞がついていないというところです。
ある程度学習をしている人なら無意識に”go to the school”ではなく”go to school”や“by the train”ではなく”by train”と言っていると思います。
ただ、なぜそうなるのでしょうか?
なぜなら、無冠詞の名詞はその名詞の「本質的な役割」を示すからです。
“school”「学校」ならば勉強をするところ。
“train”「電車」ならば移動手段を表します。
よって、一般的に「電車通学をしている」と言いたい時には”school”や”train”には冠詞はつきません。
本題の”by”についてですが、”by train”で「電車で」という通学の手段をここでは表しています。
We express our thoughts by means of words.
我々は言葉によって思想を表現する。

“means”は名詞で「手段,方法」という意味を持ちます。
また、ここで使われている“of”は「同格のof」です。先に進む前に一旦「同格のof」の復習をしましょう。
よって、”means”「手段」という名詞を”words”「言葉」という名詞が補足説明してくれ、どのような”means”「手段」なのかを表しています。つまり、”means of words”で「言葉という手段」というフレーズになります。
そこに「手段,方法」の”by”が加わることで”by means of words”で「言葉という手段を用いて」という意味になります。
「差」を表す”by”
“by + 数値(または数値を表す表現)”で表現されます。
John is older than me by three.
ジョンは私より3歳年上だ

“John is older than me”で「ジョンは私よりも年上だ」という意味を表しますが、”by three″と付け加えることによって、3歳の差があることを表しています。
「単位,部分」を表す”by”
“by the + 単位/部位名”で表現されます。
I get paid by the week.
私は週単位で支払いを受けている→週給制で働いている

“by the week”で「週の単位ごとに」と表現されています。
「週の単位ごとに支払いを受けている」つまり、「週給制で働いている」という意味になります。
I held her by the hand.
私は彼女の手を握った

“I held her hand”とも言えますが、ここでは「誰の」という情報を先に出して「どこを」という情報を”by the + 部位名”で付け足しています。
It will be hotter day by day.
日ごとに暑くなるだろう。

“It will be hotter”「これから暑くなるだろう」という文に”day by day”を付け足すことにより、「日が経過するごとに」というニュアンスが加えられます。
応用として、「X by X」(Xは同じ単語)という形で意味は「Xという単位が経過するごとに,Xずつ」というようになります。
例えば”little by little”で「ちょっとずつ」や「少しずつ」というような意味になります。
「判断材料,基準,限界」を表す”by”
It’s six o’clock by my watch.
私の時計では6時だ。

“by my watch”で「私の時計では」というように、判断材料を表しています。
A man is known by the company he keeps.
人は付き合っている仲間で判断される。

ここでの”A man”は一般的な「人」を表し、”company”は「会社」ではなく、ここでは「仲間」というような意味です。
“is known”は受け身で「知られる」と直訳されますが、ここでは「判断される」と訳した方が日本語的にしっくりくるでしょう。
“by”を用いて、人が判断される材料が”the company he keeps”「付き合っている仲間」だということを表しています。
I know him by name.
彼の名前は知っている。

“I know him”で「彼を知っている」という意味になりますが、”by name”をつけることでその「知ってる度」の限界を表します。ここでは「名前だけは」というニュアンスが加えられます。
「行為者」を表す”by”
The book was written by Nicholas Sparks.
その本はニコラス・スパークスによって書かれた。

おなじみの受動態の文に使われる”by”です。
“by”以下に行為者が示され、誰がその動作をしたのかを表します。
しかし、この「行為者を表すby」は擬人的にも使われます。
その例を見てみましょう。
Many people were killed by the earthquake.
その地震で多くの人が亡くなった。

「地震」自体が意図的に人を殺すことはありません。よって、この例は地震が擬人化されたものだと言えます。
「近隣,通過」を表す”by”
There is a small house by the river.
川のそばに小さい家がある。

“by the river”で「川のそばに」というニュアンスを表します。
You can reach Hokkaido by way of Aomori.
青森経由で北海道へ行けますよ。

“by way of~”で「〜を経由して」という意味になります。おそらくこの表現は丸覚えするのが良いと思います。
「完了期限」を表す”by”
“by + 具体的日時”という形で表され、「具体的日時までに〜」というニュアンスが与えられます。
I have to finish my assessment by tomorrow.
明日までに課題を終わらせなければならない。

“tomorrow”という具体的な日時が与えられているので「明日までに」という意味になります。
I’ll read this novel by the time he comes next.
彼が次来るまでにこの小説を読んでおきます。

“the time he comes next”で「彼が次来る時」という具体的な日時が示されています。
そこに「完了期限を表すby」が加わり、「彼が次来るまでに」という意味が与えられます。
「かけ算」を表す”by”
“X(数値) by Y(数値)”の形で表され、「X × Y」という意味になります。
Multiply 5 by 3 and you get 15.
5と3を掛けると15になる

5と3という数値が”by”の前後にあるのでかけ算を表しています。
まとめ
これまで気まぐれな前置詞”by”に関する基本的な概念について紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。
導入編でも言ったように、最初に整理された知識をキレイに頭にしまい込むことは今後の学習に大きな影響を及ぼす大切な段階です。丁寧に何回も復習し、自分のものにしてください。